【スペイン旅行記】Day5 コルドバの公園にあるオレンジが誰にも収穫されない理由とは?

今日はマドリードから南の方向にある「コルドバ」という場所に行く。

昨日と同じように国鉄の特急に乗って行くのだが、昨日はチャマルティン駅から列車は出発した。
今日乗る「コルドバ」行きの電車は泊まっていたホテルからすぐ近くにある「アトーチャ駅」から出発なので、
昨日のように「乗り遅れそうになる」という心配は無用だった。

しかしながら、ビビリな我々はホテルのすぐ近くなのに十分すぎる余裕をもってホテルを出発する。

コルドバ行きの列車も昨日のセゴビア行きと同じく、事前に日本からネットでチケットを予約し、プリントアウトしたものが
そのままチケットとなるので、わざわざチケットを買うために窓口に並ぶ必要も無く簡単。

スペインの鉄道は世界のいろいろな所に輸出されているだけあって、日本と同様にクオリティーは高い。
車内も綺麗で乗り心地も抜群だ。

マドリードからコルドバまでは特急でおよそ2時間ぐらい。昨日のセゴビアはマドリードから30分ぐらいだったので、
そう考えると遠い感じもするが、列車が快適なので、苦になるほどではない。

そんなこんなで、無事コルドバ駅に到着。

セゴビアでも思ったのだが、スペインの地方の駅は、駅舎はとても綺麗で立派なのだが、建物内部はかなり質素。
質素というか、必要最低限の物しか揃えていないといったほうが正しいかも。

さて、駅からどっちの方向が目指す「メスキータ」なのかがわからなかったので、駅構内にあったインフォメーションデスクで
方向を聞く。東側の出口から出るとちょっとした広場になっているので、その広場を進んで右手方向に行くと「メスキータ」
の方に向かう。

さて、大通りに出ると結構な交通量なのだが、大通りの真ん中は公園っぽくなった空間で、公園内はもちろん歩行者のみで
車は通れない。静かな空間をのんびり歩くことができる。

公園内は適度な芝生と樹木に覆われているので、とても気持ちがいいのだ。こうゆう街造りをしているのを目の当たりにすると
「あ〜、ヨーロッパだなぁ〜」と感じるところだ。

さて、このスペイン旅でバルセロナとかいろいろな所で街なかにこんな感じで たわわに実ををつけたオレンジの木を
よくみかけた。

われわれのような日本人のステレオタイプな考えだと「あ〜、バレンシアオレンジとか言うぐらいなので、オレンジは
どこでもなっているんだなぁ〜」とか思う。

近づいてみると、こんな感じで実がなっていて、超美味そう。

しかしながら、ちょっと不思議なのは、誰も収穫しようとしていない。というか、すでに地面にたくさんの実が
落ちてしまっている。「お〜、モッタイナイモッタイナイ」と思うのだが、よくよく見ると
鳥とかも争って食べているような風景は見えないし、形跡もないのだ。

すごいいい匂いもしているので、是非とも食べてみたいのだが、勝手に採ったらなんだか怒られそうだ。かといって
下に落ちているのを拾って食べるのもねぇ〜

と思っていたら横で「ボトッ!」という音がした。音の方に振り返ると、今まさに落ちて転がる実があった。
顔を見合わせる我々。「これはひょっとして、神様が我々にくださったんぢゃないか?」と、キリスト教信者でもないくせして
おもっきし我々に都合よく解釈して食べることに。

ということで、妻は果敢に挑戦する。

皮を剥くとさらにオレンジの美味そうな匂いが広がる。これは期待大だ。美味いに決まっている。

そして、妻が早速一口食べる。さてお味は・・・?

「すっぱ〜!!!」

妻の奇声が響く。予想に反して体が震える程のすっぱさだそうだ。甘さとかを感じること無くいきなり酸っぱさが
全身の神経に電気を送ってくるらしいのだ。

「そんなことないだろぅ〜。こんな美味そうな匂いがしてるのに〜」と半信半疑で自分も食べてみる。結果は・・・?

「すっぱ〜!!!」妻正しい〜! 想像を絶する酸っぱさなのだ。例えて言うなら「これオレンジだよ」と言われて、
何の疑いもなくレモンをいきなり食ったような衝撃だ。全然甘さがない。「オレンジの匂いがするレモン」のようだ。
いや、レモンより酸っぱいかもしれない。

こりゃ誰も食べないわ〜。かなり納得。鳥も食べずにそこら中に落ちた実が転がっているのもすごく納得なのだ。
何でこんな酸っぱい種類のオレンジの木を植えたんだろう?と不思議なぐらいだ。だったら、もっと美味しい種類の
オレンジの木を植えればいいのに〜と思う。

さて、衝撃のオレンジ事件で若干「やられた」感が否めない我々だが、気を取り直して目的の「メスキータ」に向かう。

コルドバ駅から広がる公園を抜けると、小道に入る。そこはいわゆる「旧ユダヤ人街」と言われている地域。

この「旧ユダヤ人街」は世界遺産にも指定されている場所。とはいえ何か立派な建物や見るべきものがあるわけではない。

大抵はこんな「ちゃりんこが通るのも一苦労」と言えるような細い小路が迷路のように広がっている。

場所によっては白い壁に花が飾られている風景が美しいらしいのだが、我々が通った道は、ただただ細いだけの迷路だった。

メスキータから遠い場所は普通の民家といった感じの家ばかりだったのだが、メスキータに近くなってくると、
通りの両側におしゃれなお土産を売る店が増えてくる。

微妙に迷いつつもなんとかメスキータに到着。川側の入口にはこんな感じの門があった。

というわけで、早速北側にある門から敷地内に入ってみる。

中に入るとまず「オレンジの中庭」と言われる中庭のような空間が広がっていた。中庭にはたくさんの木も植えられていて、
観光客や地元の人が休憩しているような、微妙な使われ方をしていたが、本来はイスラム教徒が祈りの前に
ここで身を清めた場所なのだ。ちなみにこの中庭は無料で見られる。

さて、建物内に入るにはチケットを買う必要がある。チケット買って早速中に入ってみると・・・

縞々が印象的で独特な形状の柱がたくさんある空間が広がる。ここは「円柱の森」と呼ばれる場所。

先程からメスキータ・メスキータと言っているが、そもそも「メスキータ」とは何なのか?

今では「キリスト教の国」と認識されているスペインだが、歴史上でイスラム教に征服された過去がある。
そんな歴史の中で作られた「モスク」がこのメスキータなのだ。歴史上でキリスト教が再度征服した為に、
現在ではイスラム教とキリスト教が共存する施設となっている、

さて、この縞々はどんな構造なのか? 色のついたレンガを上手く組み合わせているのかなぁ?と思って拡大してみると、
どうやら、塗装のようだ。まあ、それでもきれいなのでいいんですが・・・。

このモスクは時代と共に改修を重ねて拡大してきた過去がある。なので、先ほどのように比較的新しい構造の部分もあれば、
この写真のように若干古くて歴史を感じる部分もある。

それにしても、本当に独特のデザインだなぁ〜と感心する。ちなみにこの柱は850本もあるそうだ。

そして、この空間はかなり広い。かつてメスキータの敷地内には2万5千人もの収容能力があったそうだ。
ちょっとしたスタジアムぢゃん!それ。

天井なんかは、やはりスペイン人らしいデザインだなぁ〜と感じるような美しさだ。

基本的にはモスクなのだが、キリスト教の再征服によって、キリスト教関係の礼拝堂も中央に設置されている。
この祭壇もすごく立派なのだ。周りがモスクの空気なのに、ここはまるきりキリスト教の雰囲気をかもしだしているのが
非常に不思議だ。

スペインだけあって、彫刻のクオリティーもすごく高い。今まで何となくスペイン人の気質を「いいかげん」と
勝手に思い込んできた自分は反省が必要だと感じた。

モスクなので当然のごとくメッカの方向を示すくぼみ(ミフラブ)もある。さすがにココらへんの力の入れようもすごい。

観光王国スペインの中でも有名な観光地だけあって、メスキータの中はかなりの観光客がいた。まあ、コルドバには
メスキータぐらいしか見どころがないので、メスキータがかなりの賑わいになるんだろうなぁ〜と納得する。

メスキータ内部のあの縞々も圧巻だが、メスキータ自体をぐるっと囲む外壁にも歴史を感じられ、ちょっとした見どころでもある。

特にこのような門は面白く、ざっとみると「イスラム的」なデザインでできていることは一目瞭然だ。しかしながら、
この写真では切れてしまっているが、この上部にはキリスト的なデザインが施されており、キリスト教に再征服された
歴史を何となく感じられる。

我々が行った時には閉じられていたが、こんな感じのイスラム的なデザインの門である「サン・ミゲル門」も見どころの一つ。

さて、メスキータを出た我々が次に向かったのは、メスキータのすぐ前にある「ローマ門」

ネットでこのローマ橋の写真を見た時「なにこれ! すごい綺麗ぢゃん!」と心を奪われた。その写真は夜でライトアップ
された写真だったのだが、先ほどのメスキータの縞々と合わせて是非とも見たい!と思っていたのだ。

ところがどっこい、我々が見たのはド昼間なので、それほど感動も無く。

確かに大きくて立派な橋なのだが、ごくごく普通の橋でもある。旅に出る際には、必要以上に期待のハードルを
上げてはいけないという失敗例だ。

ローマ橋の次に向かったのはメスキータから南西の方向に少し行ったところにある「アルカサル」。

アルカサルとは「城」のことで、昨日行ったセゴビアにあった「白雪姫」のモデルとなった城も「アルカサル」だ。

こちらは14世紀前半に建てられた城で現在は博物館になっている。

正直博物館に展示されている物についてはさっぱりわからなかったのだが、塔のような部分からの見晴らしは素晴らしかった。

このアルカサルの特徴はアラブ式の庭園らしく、確かに綺麗で整った造り。アラブ式庭園の特徴は良く知らないのだが、
中央にあるプールのような大きな池が印象的。アラブの庭園と水は深い関わりがあったのだろうか?

さて、コルドバの見どころをだいたい見た我々は、お腹がすいてきたのでレストランに行くことに。

帰りの列車に乗るためのコルドバ駅に行く途中にある、ガイド本に乗っていた「カサ・エル・ピスト」という店に向かうことに。

さて、レストランに行く途中で、歩道にたくさんのテーブルを出して、さらにたくさんの人がそこで「エビ」のようなものを
食べている一軒の店を発見。

「お〜!随分にぎわった店だなぁ〜。こういう地元の人で賑わった店って美味しいんだよねぇ〜」なんて思いながら
ちょっと覗いていたら、店員のおっちゃんが我々に気づき「お〜!にいちゃん、寄ってきなよ。ほら、ここにテーブルを
新たに用意すっからよ〜」てな感じで半ば強引に席に着くことに。

確かにうまそうだったのだが、目的のレストランはすぐそこだったので、そこに行く前に食べるってどうだろう?
と思いつつ、みんなが食べていたエビを食べてみることに。

ちなみに、帰国後にネットで調べてみたら「El Puerto」というお店だったようで、目的のレストラン
「カサ・エル・ピスト」からはすぐの場所だった。

ということで、注文したエビがすぐに出てきた。ちなみにこれで3ユーロ。地味に安い。

早速食べてみると、これが予想通り美味い! たいていのお客が食べているのも納得の一品なのだ。
少し塩味が強めに付いているのだが、我々はお酒が飲めないのではっきりしたことは言えないが、多分ビールと一緒に食べたら
ちょうど良い感じの塩味になるんだろうなぁ〜という味。しかも塩味以外には特に味付けされていなくて、エビの美味さが
十分に感じられ、食べごたえもある。われわれはこのエビに感動し、これからレストランに行こうとしているにもかかわらず、
もう一皿おかわりをしてしまった程の美味さだった。

ちなみにこの写真に写っているおっちゃんが、我々を強引に引き込んだ店員。

最初は「あ〜!めんどうなのに捕まってしまった〜!」と思ったが、結果的に彼のおかげで美味いものに巡りあうことができたので感謝なのだ。

ちなみにこのおっちゃんが我々の為にテーブルを用意してくれたのが、この写真の丸印のとこら辺で、思っきし公共の歩道の
ど真ん中。スペインではオープンカフェ的なお店がすごくたくさんあって、こうゆう文化が根付いているので、
公共の歩道のど真ん中にテーブルを置いても誰も文句を言わないんだろうなぁ〜と思う。

とは言え、そういった環境に慣れていない我々にとってはちょっと落ち着かない。

さて、エビでだいぶ満足してしまっていたのだが、せっかくなので目的の「カサ・エル・ピスト」にも向かうことに。

カサ・エル・ピストも店の前にたくさんのテーブルを置いて、オープンカフェ的に食事を提供している店だったのだが、
我々が行った時には、店の前のテーブルは埋まってしまっている程の大盛況。というわけで店内にもちょっとした中庭的な
空間があって、そのテーブルで食べることに。

ここの料理は何を頼んでも美味かった。魚のオイル漬け(左上)、スペイン風ラタトゥイユ目玉焼き乗せ(右上)、
イベリコ豚のほほ肉煮込み(左下)、肉巻きフライ(右下)と、ちょっと頼みすぎた感は否めないのだが、どれも
間違いない美味さだった。

やはり、ここでもオリーブオイルの美味さが全体の美味さに影響しているんぢゃないか?とも思われた。

さて、このスペイン旅。翌日は王宮とかマドリードの街なかをブラブラして終了。さすがに観光王国スペインだけあって、
見どころは我々の期待を外さないクオリティーの高さだった。

治安が若干悪いような情報もネットではちらほら見かけたが、正直あまり治安の悪さは感じられなかった。それはもちろん
夜は街に出ないとか最低限のルールは守った上での話なのだが。

食事も味は濃い目だが結構おいしく、日本人の口にも合い、人もそれなりに優しい。思ったほどいい加減ではなく、
電車の運行など結構正確な点は正直意外だった。なかなか面白い発見もでき、今回我々が訪れた所以外にも見どころは
たくさんあるスペインにはまた是非来たいと思った。

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