Day3 マッサンとマニアたちの聖地に行ってみた!

今日は早朝から移動。札幌から電車で余市に向う。

朝早かったので、ホテルでの朝食は取れず。電車に乗るには時間的にギリギリだったのだが、駅弁屋がオープンするのを店の前で待ち、オープンしたとたんに駅弁を買う。

買った駅弁は「三大蟹 そぼろ弁当」と「海鮮えぞ賞味」。三大蟹そぼろ弁当は、たらば・ずわい・毛蟹の3種類の蟹の身がご飯の上にちりばめられていて、それぞれの蟹の味を食べ比べることができて美味い。事前の噂どおり毛蟹が一番味わい深かった。

余市に向う理由は、ちょうど今やっているNHKの朝ドラ「マッサン」の舞台が余市なのだ。現在でもマッサンが興した会社のモデルとなっている「ニッカウヰスキー余市蒸留所」があって、一般人が見学することができる。せっかく北海道に来た機会に恵まれたので、訪れてみようと思ったのだ。

余市までの電車は、途中雪深いところもあったり、山に囲まれたところもあった。今となっては「そこに街がある」というのが分かっていくので不安も無いが、マッサンが行った当時は不安ではなかったのかなぁ~と思ったりする。

電車は途中、小樽で乗り換え余市まで。小樽までは結構電車の本数も多いが、小樽から余市までは、電車の本数も少ない。

余談になるが、我々が住んでいる静岡県(JR東海区間)から東京側(JR東日本区域)に
行く時にはSUICAが使えない。区間をまたぐと対応できないという国鉄らしいサービスの悪さなのだ。北海道は当然全域JR北海道の区間なのでSUICAが使えると思い、わざわざ札幌駅でチャージしてSUICAで乗った。んで余市の駅で降りようと思ったら「SUICA使えません」と。

「えっ!同じ区間内なのに使えないの~!」と、超驚きで結局現金で支払う羽目に。札幌駅でわざわざチャージしたのは何だったのだ・・・。ということで、余市まで行く方は、札幌駅で「切符」を買いましょう。

1時間半ぐらい電車に揺られて余市に到着。予想した通り「マッサン」をアピールする看板もある。

マッサンアピールはここぞとばかりに気合が入っており、ポスターもウィスキーの樽でも、使えるものは何でも使ってマッサンと余市がアピールされており、自然とテンションもあがる。

余市の駅の中はちょっと狭めで「田舎の駅」って感じがしたのだが、外から駅舎を見たら結構立派だった。

ニッカウヰスキーの工場見学はフリーの工場見学と案内付きの工場見学の2種類がある。フリーの工場見学は予約不要だが、案内付きの工場見学は事前予約が必要で、定員いっぱいになると予約が取れない。

小樽から余市に来る電車は本数が少なく、電車の到着時間から工場見学開始の時間までにあまり余裕が無かった。一応ニッカウヰスキーのホームページには「駅から徒歩3分」と書いてあったが、今までの海外に行った時などの経験から、「道に迷う」とか不測の事態も考えたら、ネットで工場見学の予約をしている時に「場合によっては、電車降りたらダッシュかもね」と心配していた。

ところが、急いで駅舎を出るとその心配も完全に消えた。駅舎から正面にすでに工場の門が見えているのだ。てか、すごい近い。ホームページに書いてあった通り、本当に徒歩3分ぐらいで道に迷う心配も全く無い。

駅から本当に徒歩3分で工場に到着。この入り口は朝ドラでも映ったことがあり、テレビで見たことがある風景にテンションはさらに上がる。実際に見る門と朝ドラで見た門では、門にある「ニッカウヰスキー株式会社」という文字は映像処理で消されていた。

ニッカウヰスキー余市蒸留所の建物は文化財としても登録されているようで、創業当時の様子が伺える。

我々は案内付き見学に参加したのだが、始まるまで待合室で待つ。待合室のドアと開けたとたん、ニッカウヰスキーのキャラクターが出迎えてくれる。

このキャラクターは「ブレンドの王様(キング・オブ・ブレンダーズ)」と呼ばれた英国人「W・P・ローリー」がモデルと言われているそうだ。

しばらく待つと、工場見学が始まる。敷地内の建物も入り口の門と同様に歴史を感じさせるたてもので、文化財登録されている。朝ドラで映ったまんまぢゃん!と思ったが、実際にココで撮影されたそうなのだ。

20人ぐらいの客がぞろぞろと案内役についていく。

この建物は蒸留作業を行う建物。

中に入ると朝ドラでも出てきたポットスチルがお目見えする。蒸留には石炭を使って行うそうだが、今でも石炭を使って蒸留作業をするのはここだけだそうだ。蒸留は計2回行う必要があるのだが、現在はポットスチルが6基ぐらいあって、1回目の蒸留と2回目の蒸留はそれぞれ別のポットスチルで行うので効率的だが、創業当時は1つしかなく、1回目の蒸留が終わった後、一度ポットスチルを洗浄して2回目の蒸留を行うという、非効率な方法でしかできなかったそうだ。当時の苦労を感じられる。

この日は蒸留作業はやっていなかった。というのも、冬場と夏場は蒸留作業はやらないとのこと。極端な気温では上質なウィスキーを造ることが難しいので、春と秋の気温が安定している時に行うとのこと。なので、見学に行くなら春か秋に行った方がいいかもしれない。春と秋のシーズンは実際に蒸留作業をする(石炭をくべる)ところを間近で見ることができるそうだ。

朝ドラではポットスチルに「しめ縄」をするシーンがあったが、実際のポットスチルにもしめ縄がしてあった。これはマッサンがもともと日本酒の酒蔵の出身で、新たにお酒を仕込む時には「いいお酒ができますように」という祈りを込めてしめ縄をするそうで、その習慣をこのウィスキー作りにも適用した。現在でも全てのポットスチルにしめ縄がしてあった。

ド冬に行ってしまったため、落雪等の危険があって中に入れない部分もあった。この建物は粉砕した麦芽に温水を加えて、麦芽に含まれる酵素を働かせて、でんぷんを甘い麦汁に変える場所(写真の右側の方に建物がある)。そして写真の左側は、麦芽に酵母を加え、糖をアルコールに変える場所。
ちなみに写真に写っている女性は今回の案内役をしてくれた方。この工場見学は無料で参加できるのだが、わざわざ案内をする専門の職員をつけるのに無料で見学できるなんて、ニッカウヰスキーは太っ腹だなぁ~と思う。しかもこの案内役の女性は相当訓練されている感じで、案内もすごく慣れていた。案内が終わった後も各自、自由に敷地内を見学できるのだが、他の係員が係員同士で練習をする姿も見られた。朝ドラの効果で急に客が増えたので、案内する係員も急遽増員しなければならないんだと想像できる。

これはマッサンが住んでいた家。と言っても、もともとはここにあったわけではなく、違う場所にあったのをここに移設したもの。外観は洋風の家なのだが、家の中は結構日本風になっているそうだ。現在は玄関までなら中を見ることができる。

ウィスキーで大切なのが熟成。熟成させるには樽が必要で、こんな感じに2段積みにして熟成させる。高く積み上げると、上の方に置いた樽と下の方に置いた樽に熟成の差ができてしまうため、ここでは2段積みまでしかしていない。そうなると広大な土地が必要になり、一つの貯蔵庫は長さにして50mぐらいの長さがある。
驚いたことは、この状態で10年以上普通に熟成させるが、樽に保存しているため自然と中身が蒸発してしまい、10年も経過すると、最初に入れた量の半分ぐらいになってしまうそうだ。ちょっともったいない気もするが、この蒸発で無くなった分を「エンジェルシェア(天使の分け前)」というらしい。うまい表現だなぁ〜と思う。でも、こんだけたくさんの樽から全てにおいて半分づつ天使に分けているとしたら、天使は相当大酒飲みなのかもしれない。

実際に蒸留所全体を見て感じたことだが、ウィスキー作りのほとんどがこの熟成なんぢゃないか?と思う。というのも仕込む場所はそんなにないが、ほとんどはこの熟成庫なのだ。そりゃ10年とか保管するってことは、毎年仕込んでいたら相当な量になるもんね。ちなみにウィスキーは樽では熟成するが、瓶の中では熟成しない。したがって、何年瓶の中にあったとしても残念ながら熟成しないので、さらに美味しくなったりはしない。

見学コースの途中には「ウィスキー博物館」があったりする。樽はどんな材料でどんな感じに作られているのか?とか、ウィスキーは樽の中で年数を重ねていく程にどんな変化をするのか?等、いろいろなことが勉強できる。見学ツアーではそれほど細かく説明されないが、見学ツアーが終わった後に各自再度見ることができるので、その時にじっくり読んだりすることができる。

ウィスキー博物館にはマッサンが初出荷した第1号ウィスキーが今でも残っている。この瓶1本を現在の値段でおよそ7000円ぐらいで発売したそうだ。綺麗な琥珀色で歴史を感じさせるウィスキーだ。

他には、創業者の竹鶴政孝や、その妻であるリタに関するものが飾られている。

左の絵が創業者の竹鶴政孝。朝ドラの「マッサン」はこの人がモデルになっている。そして右側の絵が彼の妻のリタ。朝ドラでは「エリー」という名になっている。竹鶴政孝がスコットランドに洋酒の勉強しに行った時に知り合って結婚した。当時リタの関係者は結婚に反対していたそうだ。またリタが日本に来てから、戦争があって、敵国出身ということで周りから嫌がらせされるなど苦労したらしい。彼女の着物姿の写真などもあって、ちょっと違和感があったが、日本人になる努力を相当したそうで、さらに寒がりだったため、この寒い土地で暮らすにあたって、比較的暖かい着物を好んで着ていたそうだ。また、お酒にも強かったそうで、いくら飲んでも普通の顔をしていたそうだ。

博物館の最後には現在発売されているニッカウヰスキーの商品が紹介されていた。ニッカウヰスキーにとっては、ここが一番大事なのかもしれない。ウィスキーはチョコレートと大変相性が良い特性があるので「ウィスキーボンボン」というのがあるのはそういった理由。また、それぞれの製品には最もオススメの飲み方があるらしく、「この商品は水割りでこの商品はハイボールで飲むのがオススメです」みたいな紹介もしていた。

そんなこんなで、見学ツアーの締めには、お楽しみの無料試飲がある。写真のように一人3杯まで無料で試飲ができる。と言ってもお酒が全然飲めない我々夫婦にはあまり楽しみな時間ではないが、それでもそれぞれの香りの違いや味の匂いを体験できて楽しかった。

見学ツアーは終わり、そのあと各自で他の場所を見たりした。これは「樽の作り方」を細かく説明した物。樽によっても熟成が変わってくるので結構重要なポイントだそうだ。

黒い銅像なのでちょっと分かりにくいが、創業者の竹鶴政孝像が外にあった。雪深い余市では、蒸留所内はたくさんの雪が積もっていたが、この竹鶴政孝像の所は綺麗に雪かきされていた。いまでも従業員に慕われている証拠なんだと思う。

初めて知ったことなのだが「ニッカウヰスキー」の名前の由来であるが、竹鶴政孝はウィスキーを仕込んでいる間にりんごジュースの製造を手がけるなどして、モルト原酒の熟成を待った。なので当時は「大日本果汁株式会社」という名前で、その後「大日本」の「日」と「果汁」の「果」を合わせて「ニッカ」という名前にしたそうだ。

そんなこんなでニッカウヰスキー余市蒸留所を十分に楽しんだ。以前は「テレビとかで紹介された所や映画の舞台になった所に行って何が楽しいんだろう?」とスレていたが、実際に行くと「お〜!ここがその場所か〜!」とか思って結構楽しいです。ハイ。
んで、十分楽しんだので、札幌に戻ることにする。来た時と全く逆で電車で帰ろうかと思ったが、いかんせん電車の本数が少ない。と思っていたら、ニッカウヰスキーの売店にバスの案内があって、駅前からバスでも札幌に帰れるらしく、バスで帰ることに。バス停は駅に向かって歩き、大きな道路を左折して少し行ったところ。前に出した駅前の地図(徒歩3分のくだりの項)を参考にしていただきたい。
4番のバス停が札幌駅行きのバス停。バス停のすぐ前が観光案内所になっていたので、バスを待つ間ちょっと中を覗いてみたら、予想通りマッサン関係のもので満開だった。一応係りのおばちゃんに「バスで帰るのと電車で帰るのでは、かかる時間は結構違いますか?」と聞いてみたら「いや〜、それほど変わりませんよ。かわっても10分ぐらいですかねぇ〜」と言うので信じて乗ったが、結局バスの方が1時間ぐらい遅かった。そりゃ雪の季節だからしょうがないわな。時間を急ぐ人は電車で帰った方がいいです。

札幌駅に到着したのはちょうどお昼時だったので、みそラーメンを食べに行くことにした。ガイド本やネットを検索してどのサイトでも紹介されていた「一粒庵」というお店に行ってみる。お店はJR札幌駅からすぐ近く。地下鉄のさっぽろ駅からは直結でアクセスも良い。んで、店に行ってみると行列が。「うげぇ〜」とも思ったが、ここまで来たんだからということで素直に並ぶ。中国人やタイ人なんかが並んでたりもした。多少予想はしていたが、観光客向けの店か?

とはいえ、運ばれてきたラーメンを一口すすると納得の味だった。濃厚で味に奥行きがある。自分が住んでいる方で味噌ラーメンを食べても、ちょっと濃いめの味噌汁か豚汁に麺が入っているだけぢゃないの?的な味の味噌ラーメンが多いが、ここのラーメンは濃厚で味噌の味だけではなく、出汁の味もしっかりと感じられるラーメンだった。個人的には結構オススメ。

札幌味噌ラーメンでお腹いっぱいになった我々は次の目的地に移動。途中地下鉄さっぽろ駅のコンコースには懐かしの「札幌オリンピック」のポスターが飾ってあった。ポスターのデザインが現在に比べてシンプルな感じがしていい。

さて、地下鉄に乗って次に向かったのは「南平岸駅」近くにある「HTB(北海道テレビ放送)」

南平岸の駅を出たら、左手方向にずんずん進む。すると、その先にちょっと高めで、屋上に大きなアンテナが立っている建物が見えてくる。

さらに進むと、屋上に黄色くて丸いキャラクターの「onちゃん」がっ! HTBの社屋に到着。といっても我々の本当の目的地はココではない。ちなみに社屋に入ってみたが、我々のような外部の人間は本当にエントランスしか入れず、しかもショップとかもあるのかと思いきや全然なく若干がっかり。ちなみにグッズは地下鉄すすきの駅直結の地下街ポールタウンにあるHTBコーナーが充実している。(参考URL

さて、本来の目的地へ。このHTBの社屋とその前にある駐車場の間を進み左手方向に進むと、ちょうどHTB社屋の裏手に当たる場所に「平岸高台公園」がある。我々の目的地はココ。

この写真を見て「あっ!」と思ったアナタは、かなりの「水曜どうでしょう」通。そう、ここは今や知る人ぞ知る、あの有名なHTBのローカル番組「水曜どうでしょう」の前枠・後枠が撮影されていた公園。水曜どうでしょうファンにとっては「聖地」みたいな場所。テレビ局の裏の公園で撮っちゃうなんて、こんなざっくりな所が人気の出る理由なのかも。
別にこの公園に来たって誰かに会えるわけでもなんでもない。こんな雪の日に来たって誰もいない公園がただあるだけ。でもなぜだかテンションが上がってしまうバカ夫婦二人組。世界に聖地ていろいろあるし、いろんな所に行ってみたけど、実は聖地って存在はそんなちっぽけで、関係ない人にとっては何でもない場所と存在なのかもしれない。

さて、本日の夕飯はカニの食べ放題。写真のようにひたすら「タラバガニ」「ズワイガニ」「毛蟹」を90分食べるコースを注文。やはりここでも個人的な味の順位をつけるならば、1位「毛蟹」、2位「ズワイガニ」、3位「タラバガニ」って感じ。ただし、毛蟹が一番食べにくく、美味しいからと行って一生懸命毛蟹を食べていると、時間が足りなくなってしまう。ズワイガニはそこそこ美味しい上に身も取り出しやすいので、総合的にみるとズワイガニが一番かもしれない。
さて、明日は旅の最終日。明日は帰りの便まであまり時間が無いのだが、北海道の神様にご挨拶に行く予定。

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