【コーカサス旅行記】Day7 世界遺産エチミアジンで宗教にどっぷり浸かる!(アルメニア)

運悪くアルメニアの政変とかちあってしまい、バナゾルの街から出られない状況に陥ってしまった。
デモの様子を見ると、通りがかりの外国人を攻撃したり、火炎瓶を投げ合うような過激なものではなく、交差点に車を置き、道路を封鎖するのがメインで、夜になればその車もどけられているという、一般に「デモ」と聞いて想像するような過激なデモではなかった。

本日もエレバンに行くことに挑戦しようかと思うのだが、昨日と全く同じだったらやはりエレバンには行けないかもしれない。
そこで作戦変更。
夜になったら道路封鎖が解除されているので、では早朝にタクシーを捕まえて、移動できないか?と考えた。

とりあえず駅の周辺に言ったら、早朝でもタクシーの1台や2台は捕まえられるだろうとたかをくくってバナゾルの駅に向かってみたが、タクシーどころか普通の車も全然走っていない。
困った。

仕方なく他の手はないか?とそこら辺をぶらぶらと歩いていると、開店準備をしている個人商店のおっちゃんと目があった。
そこでダメ元で「エレバンに行きたいんだけど、タクシー呼んでもらえませんか?」と言ってみると「えっ、タクシー?ちょっと待って」とどこかに電話をしてくれた。
んで「もうちょっとで来るから待ってて」と。

「うぉ〜!助かった〜! これでエレバンに行ける!」と大喜び。
おっちゃんに「タクシーでいくらぐらいか?」を聞いて、タクシーを待つ。
すると、完全に白タクと思われる一台のおっさんが運転するボロボロの車が来た。
先ほど個人商店のおっちゃんに聞いた値段で値段交渉し、交渉成立。

ということで、朝5時にエレバンに向けて出発した。
自分が言った時は、運悪く政変のデモにかちあってしまい、こんなことになったのだが、通常だったら前回書いた、バナゾル駅前から出るミニバスに乗れば安く行ける。

というわけで、やっとのことアルメニアの首都である「エレバンに到着」
確保していた宿にバックパックを置いて早速観光に出かける。

エレバンの街から西にしばらく行ったところにある世界遺産「エチミアジン」に行くことに。

エチミアジンには、エレバンの街の西の方にあるバスターミナルからミニバスが出ているのでそれに乗れば良い。
タクシーを降りた共和国広場からテクテクあるいてバスターミナルへ向かう。

途中には「地球の歩き方」にも紹介されているブランデー工場が見える。
中も見学できるそうだ。

そんなこんなで、バスターミナルに到着。
三角屋根が特徴的な建物で、中に入ってみると、びっくりするほどガランとしていた。

ミニバスのチケットは建物内でかうわけではなく、ミニバスに乗車して降りる時に運転手に直接支払う。
バスの乗り場は建物と道路の間ぐらいの場所だったのだが、状況によって変わるかもしれないので、そこら辺でぶらぶらしている人に聞けば普通に教えてくれる。
バスの番号は203番だったと思うが、そこら辺も含めてその辺のに人に聞けば良いと思う。

というわけで、バスターミナルからエチミアジンへ。
時間にして30分ぐらい。
エチミアジンの途中には、これまた世界遺産である「スヴァルトノツ」があるので、ミニバスを途中下車しスヴァルトノツに先に寄ることにする。

バスは席が埋まらなくても、だいたいの人数が集まれば出発した。
それなりの時刻表はあるのかもしれない。
途中には一応バス停らしきものがあり、降りたい人や乗りたい人がいれば停まってくれる。
自分もスヴァルトノツの近くい来たら、降りたい意志を見せたらちゃんと停まってくれた。
本当ばスヴァルトノツの目の前がバス停ではないのだが、俺以外に降りる人や乗る人がいなかったし、明らかに俺が観光客だったので、わざわざツヴァルトノツの目の前でバスを停めてくれた。
ありがたい。

エチミアジンとツヴァルトノツの位置関係はこんな感じ。

さて、意気揚々とツヴァルトノツに入ろうと思ったら・・・

がーん、朝が早すぎてまだ空いてなかった。
10:00からだそうなので、自分と同じく朝早くから行動しようと思っている人は注意が必要。

仕方ないのでツヴァルトノツは帰りに寄ることにして、エチミアジン方向に歩いて行くことにする。
エチミアジンまでの途中に「聖フリプシメ教会」があるようなのでついてに寄って行くことにする。
「地球の歩き方」には「リプシメ教会」と書いてありますよ。

聖フリプシメ教会への途中には不思議な手のモニュメントがあった。
「Saint Gregory’s right hand」というモニュメントらしいが、どんな意味があるものなのか?は不明。

そんなこんなでテクテク歩いて聖フリプシメ教会に到着。
ツヴァルトノツから歩くと1.5kmぐらいあるので、結構歩いた感がある。

聖フリプシメ教会はかなり立派な石造りの教会。
天気も良く、朝日に照らされた教会はオレンジ色が綺麗な教会だった。

教会内部は派手さは無いが、落ち着いた感じの空間。
外側は結構綺麗なのだが中は歴史を感じさせる特別な感じがある。

祭壇の横にある入り口から半地下へ降りると、この教会が作られるきっかけとなった「フリプシメ」の墓跡(写真右下)がある。

祭壇自体に派手さは全く無く、落ち着いた感じ。
しかし教会内には色鮮やかな絵がいくつか飾られていたのだが、内部のシンプルさの効果があるのか?絵が印象的に残る。

エチミアジンはかつてアルメニアの首都でもあり、2000年にはエチミアジンの大聖堂と教会群が世界遺産に登録された。
なので、世界遺産であることを示す看板が道端にあったりする。

さて、聖フリプシメ教会からはまたまた歩いてエチミアジンの大聖堂に向かうことにする。

街を歩いていると、こんな感じの像をよく見かける。

そんなこんなでエチミアジンに到着。
東側に立派な門があるので、そこから入ってみる。
中央には大聖堂がある。

ちなみにエレバンに帰るミニバスは教会の北側の道路にあるので参考にしてくだされ。

写真上の2枚は東側の門。
かなり立派なのがわかるだろう。
敷地内には墓地らしきものがあったりする。
敷地自体は結構広い。

敷地内にはいろんな種類のハチュカルがある。
ハチュカルとはアルメニの教会における十字架だ。

東側の門から入ってまっすぐ進むと大聖堂が見える。
自分が行った時はどうやら修復中なようで、ちょっと残念な姿だったのだが、それでも立派な建物。

入り口の装飾からして、すでにカラフルで美しい。

自分が行った時は修復のための足場とかが組まれていてちょっと見にくかったのだが、それでもアルメニア教会の総本山だけある貫禄は肌で感じられた。

大聖堂の右奥には宝物館があるのだが、この宝物館に入るにはチケットが必要。

チケットは大聖堂の建物を出て向かい側にあるオレンジ色の建物内にある土産物屋で買える。
本当にただの土産物屋なので「こんなとこでチケット買えるのか?」と心配になるが、ちゃんと買える。

宝物館内部はこんな感じ。
ガラスのケースに数々の宗教的な宝物が展示されていて、なかなか見応えがある。

展示物はどれも貴重そうな物であることは、素人の自分にもなんとなく分かるものばかりなのだが、その中でも特にハイライト的な物が2つあって、そのうちの一つが
この「ノアの箱舟の破片」と言われている物。
まあ、冷静に考えればノアの箱舟も作り話だと思うので、本物かどうか?と言われたら結構怪しいと思うけど・・・。

そしてもう一つが、キリストが十字架にかけられた時に脇を刺されたんだけど、その脇を刺したと言われているローマ兵の槍。
金属製なので現在はサビサビで、とても人を刺せそうにはないが、一応そう言い伝えられている貴重な槍なのだ。

こちらは個人的にはノアの箱舟よりかは信憑性があると思うが、それでもキリストの話自体どこまで本当か?は怪しいので、何とも言えないなぁ〜というのが個人的な感想。

その他にもいろんな展示物があって、こんな感じの聖職者の衣装?と思われる物や

さらに奥にある部屋には書物系の物も展示されていた。

自分が行った時には、運悪く団体客とかぶってしまったのだが、それでもこの宝物館はかなりの見応えがあるので、小さいお金をケチらず見た方が良いと個人的には思う。

大聖堂の北側には、結構新しめの教会があったので、中に入ってみる。

中はかなりシンプルで、壁画なんかも何もない。
石造りの建物なので、あまり大きく窓が取れないのだが、天井に少しだけ穴が空いていて、そこから差し込む日差しが中央を明るく照らすような設計になっていて神秘的だった。

敷地の奥の方にも教会がある。
エチミアジンもしくはアルメニアの教会全体に言えることなのかもしれないが、あまり内部をギラギラしたもので飾り立てるようなことはせずに、基本的にはかなりシンプルにしているのが特徴だと感じる。
唯一色彩豊かな物を飾ると言えば、せいぜい絵を飾るぐらいなのだ。

ちょうどお昼時だし、朝から何も食べていなかったので、そこら辺にあったレストランでシュワルマ的な物を食べる。
お腹が空いている状態で食べたにも関わらず「いまいち」と思ってしまう感じだったのが残念。

そんなこんなでエレバンの街に戻ろうと思う。

エレバンの街に戻るには、先ほどのエチミアジン全体図にも位置を示したが、教会敷地の北側を走る道路沿いにミニバスのバス停がある。
ここは始発なので、常に気を張って「通過しちゃわないかな?」と注意しておく必要は無く、しばしミニバスが止まっているので心配は無用だ。自分が乗った時は203番のミニバスだったのだが、とにかく運転手に「エレバン?」と確認すれば、間違った方向に行くような心配はご無用だ。

さて、エレバンに戻る前に、朝の失敗のリベンジを果たさなければならない。

エレバンとエチミアジンの途中にズヴァルトノツというかつて教会があった場所があるのだが、気合いを入れすぎて朝早くに行ったために、まだ開いていなかった。
というわけで、帰りにズヴァルトノツに寄るのだ。
エレバン行きのミニバスを途中で降りる。

さて、ズヴァルノトツは幹線道路からかなりの距離を歩いたところにある。
しかも直線の道ではるか遠くに目的の場所が見えるので、歩き始めはかなり気持ちが萎えてしまうので注意が必要。

ズヴァルトノツはかつてここに円形の壮大な教会が建っていた場所。
その後、地震によってその教会が崩れてしまったので、現在は土台部分の骨組み的な柱が残っていたりするだけ。
見ようによってはギリシア神殿的な感じもする。

現在残っている教会の柱の他には、宮殿や浴場の跡なども残っているが、どれが何なのか?を理解するのはかなり難しい。

敷地内にはズヴァルトノツに関する博物館も併設されていて、中にはかつてあった教会の再現モデルの模型と図面らしきものが展示されていた。
これを見てやっとその教会の形が理解できる。
残っている柱だけ見ても、全然わからんわ。

再現モデルの模型以外にもこのスヴァルトノツに関する細かい説明もあるが、細かい文字の英文なので、全部読むにはなかなか根気が要りますぞ。

さて、そんなこんなで、またズヴァルトノツの前を走る幹線道路からミニバスを拾い、エレバンのバスターミナルに戻る。

んで、ミニバスを拾うつもりが、待っていたらちょうど路線バスらしきバスが来たので、どこに行くのかわからないが乗ることに。
まあ、幹線道路は一本道だし、なんとかなるでしょ〜と思っていたら、ミニバスと同じくエレバンのバスターミナルが終点だったので問題なかった。

さて、エレバンのバスターミナルからは、徒歩でジェノサイドミュージアムへ行ってみる。

バスターミナルからジェノサイドミュージアムまでは歩けない距離ではないものの、地味〜に遠い。
しかも、ジェノサイドミュージアムがある場所は小高い丘になっているので、「もうすぐ着く」というぐらいで最後に長い長い階段を登らなければならずキツかった。

そんなこんなで、やっとのことジェノサイドムージアムがある丘に到着。

ここには「いかにも!」と思えるかなり立派なモニュメントが設置されていて、火が絶えず炊かれていた。

目的のミュージアムは地下にあるという珍しいタイプ。
こんな感じの階段を降りてミュージアムにアクセスする。

アルメニアに来るきっかけとなったのは、イランのイスファハーンに行った時「アルメニア人地区」という場所があって、その教会内にアルメニア人虐殺の記念碑が建っていたことでアルメニアに興味が湧き、行ってみよう!と思ったこと。

そのアルメニア人虐殺とは、オスマントルコ帝国の時代に、オスマン帝国領内に住んでいたアルメニア人が150万人近く虐殺されたという内容。
もともと力がなくなりかけていたオスマン帝国が、独立機運を警戒して虐殺に至ったという背景。
そもそもアルメニア人は民族意識が高くて、そのような過去の歴史を忘れない。
なので、この事実を多くの人に知ってもらいたいという考えから、イランの観光地でアルメニア人虐殺の記念碑が建っていたのではないか?と思われる。

事実はどうだったのか?ということについては自分にはよく分からないが、現在のトルコはこの事実を認めれば、巨額の賠償をアルメニアから求められる可能性があるので、この事実を認めていない。
そんな背景から、トルコとアルメニアは今でも国交は断絶している状態なのだ。
ただし、2009年に国交樹立の合意文書に調印し、関係改善への取り組みが続いていることも事実。

アルメニアは隣国「アゼルバイジャン」とは仲が悪いという背景と、アルメニアがトルコと仲が悪いという背景が重なり、アルメニア自体はイランと仲が良く、アゼルバイジャンはトルコと仲が良いという背景。
なので、アルメニアにはイラン文化の影響が多く、アゼルバイジャンにはトルコ文化の影響が多いということも納得ができる。

さて、そんな背景があるアルメニア人虐殺だが、その内容を展示するジェノサイドムージアムはやはり内容を完璧に理解するにはなかなか難しい。
やはり事前知識として時代背景と経緯を理解しておかなければ厳しいなぁ〜というのが正直な感想。
まあ、一見の価値はありますが・・・

そんなこんなでジェノサイドミュージアムを後にして、市街中心の共和国広場へ戻ろうと思う。
せっかくなので、路線は少ないがエレバンの地下鉄にも乗ってみようと思うので、歩いて「Barekamutyun駅」へ向かう。

ジェノサイドムージアムと同じ敷地内には素敵な形のコンサートホールがあった。
一昔前の「近未来的建物」といった感じだ。

地下鉄駅まで歩いていた道路の街灯には「I remenber and demand」と書かれた旗的なものが掲げられており、ジェノサイドムージアムが近くにあるからだとは思われるが、意味深だった。

そんなこんなで地下鉄に乗り、共和国広場に戻って来た。
共和国広場前の建物は、国立歴史博物館と国立美術館になっている。

さて、ここから食事へ。

地下鉄駅を出て共和国広場をかすめながら歩き、向かったのは「Tashir Pizza」というお店。
ネットで「安くて美味い」という噂を聞きつけたので行ってみた。

Tashir Pizzaは自分のように一人で食事するのが苦手な人でも気軽に入れるようなファミレス的な感じ。
席数も多く店も外観から想像するよりずっと広い。

メニューにあった「レモネード」を頼むと、案の定ジョージアでも出て来たような不思議な飲み物が出て来た。
ジョージアだけの飲み物かと思ったら、コーカサス独特の飲み物か?

「安くて美味い」というネットの情報で来たレストランだったのだが、確かにお値段は高くなかったが、お味の方はあくまでも「ファミレス」レベルと言った感じ。
決してマズいわけではないが、感動的な美味しさでもないといった感じだ。

さて、明日は旅の最終日。
本当は郊外の観光ポイントに行きたかったのだが、デモの関係で1日予定が狂ってしまったので断念。
明日はエレバン市街をもうちょっとぶらぶらしてみますよ!

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